ワークスペースの話(仮)

この記事はAfterEffects Advent Calendar 2016の18日目の記事です。
前日の記事は@silve_saさんで「Magic Bullet Looksプリセットを標準機能で再現するハウツー」でした。
Looksの再現は前々回のAEオフで少し触れましたが、本当にしんどいですよね。

さて実はこのカレンダー、当初は1日目を担当する予定でした。
と言っても黒幕から「いいもっく、カレンダーは初日を書いてよね。んじゃよろしく~」とどこぞの生徒会長くらい雑に振られていたわけですが、ともかくネタが浮かばなかったので急遽むらしんさんと交代してもらったわけです。
そんな経緯もあって「ちゃんとした記事を書こう」と思ったものの、蓋を開けてみると皆さんガチもガチな記事ばかりで焦りました。こうなったらもう身を切るか体を張るしかありません。

でも冬は寒いし体を張ると風邪ひきそうなので身を切ることにしました。


★ 今日書くこと

「ワークスペース」の話をしたいと思います。
AEの各種パネルとか、そういうところをアレして効率上げたいよねという話です。


★ ワークスペース機能の使い方

AEユーザーの皆さん、「ワークスペース」の機能を使っていますか?

これです。AEでは(というか他のソフトも)作業スペースの配置を複数パターン記憶させ、作業ごとに使いやすいものを呼び出すことができます。

さらによく使うワークスペースにショートカットキーを割り当て、パッと切り替えることもできます。便利ですね。
例えば3Dシーンを多方向から確認したかったり、えーとあと何だろう、カラコレ中はタイムラインほとんど見えなくていいや、とかそういう感じにパッと切り替えられたら便利ですね。多分。

……茶番はこれくらいにしておきましょう。


★ 実際どうなんだ

オチから書いてしまうと、私はワークスペースの切り替えをほぼ使っていません
だって仕方がないでしょう。

一応クリックで拡大

要るんですよどれも!
ワークスペースの切り替えとはつまり「要らないパネルを隠して、空いたスペースにより必要なパネルを割り当てる」操作です。なら全部要る状態からは……?
そう、切り替えようがないのです(個人差があります)。

AEは非常にパネルの多いソフトです。「全ての機能をフルに使い倒しています!」という人はほとんどいないでしょうし、使っているうちに自然と「これは使う、これはたまに使う、これはほとんど使わない」というように整理されていき、いつしか「ぼくのかんがえたさいきょうのワークスペース」が固定されてしまっている人も多いのではないでしょうか。少なくとも私はそのパターンです。
あまり頻繁に動かしていると「あのパネルどこ行った?」となる可能性もありますしね。


★ どうしようか

ワークスペースの話をすると言いながらもワークスペースの切り替えを使っていない……ゆゆしき事態です。もう一度現在の画面を見直してみましょう。

うーん……なかなか動かしにくいですね。強いて言えばタイムラインの表示領域が狭くて複数レイヤーのキーを同時に扱いにくい、という不満はあります。しかしこれ以上広げようとするとプレビュー画面をそのまま小さくするか、小さくして横に持ってくるくらいしか方法がありません。ドッキングを解除して別のモニタに移すというのも手ですが、あまり左右に首を振るのも効率が悪そうです。

……ん? モニタ……? もしかしたらここにヒントがあるかもしれません。
我々は答えを求め、南米の密林へと旅立ちました。

そして数日後……

解決しました。いえーい。


★ ワークスペースの話(物理)

というわけでここから先はAEユーザーに超オススメモニタであるところのEV2730Qレビューになります。
以前からsmlifcaticさんと「正方形モニタ気になるよな」「アレ並べたらすげー変態感出るよな」などとよく話題にしていたのですが、今回ちょうどいい機会だしと思い切って購入しました。
これにより今までメインを張っていた8年前のHD2441Wがサブに、サブだった10年以上前のDELLモニタが引退となりました。長い間お世話になりました。

さてこのEV2730Qですが、PCショップによく行く方は店頭で「うわなにこれキモい」と思ったりした事があると思います。
縦横比1:1のモニタは以前にもEIZOから出ていましたが、それはもっと小さいサイズでした(1024×1024だっけ?)。EV2730Qは1920×1920なので、その存在感は抜群。なにせ縦にも横にもフルHDです。これはやばい。

まだ使用して1週間程度ですが、感じたメリットとデメリットについて以下に書いていきます。


★ メリット

◇ 作業領域が格段に広がる

1にも2にもこれです。広い。なんか奇妙に広い。

前メインモニタのHD2441Wは1920×1200だったので、縦に2倍弱……は言いすぎですが720ピクセルも増えています。これは実際に体験してみると分かりますが、かなり大きな違いです。
通常のモニタは机上に置くと上端、または上端に近い位置が目線の正面に来ることが多いと思います。画面全体を見る際は斜め下へ目線を向けることになりますが、それと同じだけの領域が正面から上にも広がっていると考えてみてください。少し伝わるかもしれません。

この縦に広がった領域はAEでも存分に活用することができます。そのままタイムラインの縦幅を拡大するも良し、プレビュー画面を拡大/増加させるも良し、普段は泣く泣く格納していたパネルを展開するも良し。
最初に貼ったAEの画面ではタイムラインの縦幅は約400ピクセルでした。720ピクセルをそのまま足せば1120ピクセルですから、実に3倍弱のスペースを取ることができます。

もちろんAE以外でも表示領域の拡大はとても便利です。例えばPixivやTumblrの巡回素材をサムネイル表示から探す時も一度に表示できる数が増えるため画面のスクロール回数が減ります。
このスクロールが減るというのがミソで、同時に確認/比較できる対象が増えるというのは効率アップはもちろん、ストレスの軽減にも繋がるので実に痛快です。

◇ 正方形である

一度正方形のモニタを使用すると「何故一般的なモニタは正方形でないのか?」と疑問を持つ場面が出てきます(過激派)。

例えばデジカメで素材や資料の写真を撮ってきたとします。PCにファイルを移して確認する時、横長の構図と縦長の構図が混ざっていると、全画面で表示した際に倍率がバラバラになってしまいます。
その点正方形モニタの場合は、どちらの構図でも同じ倍率で表示することができます。
もちろんビューワを正方形にして表示すれば横長のモニタでも倍率を合わせることは可能ですが、EV2730Qの場合長辺を1920ピクセルと大きめに取ることができます。

◇ 意外とコンパクト

作業領域の拡大に対して、占有する机上の領域はほとんど拡大されません。むしろ減る場合すらあるかもしれません。

EV2730Qのベゼル幅は上下左右ともにちょうど1cm程度のため、余計なスペースはほとんど取りません。もっともベゼル幅については各メーカー絶賛競走中であり、約2年前のモデルであるEV2730Qで張り合うのは少々分が悪いかもしれません(実際には「フレームレスモニタ」と銘打っているモニタも表示不可能領域があるので1cm弱程度の幅が開いてしまうのですが)。

製品固有の利点としては、やはり領域が縦方向のみに広がったため、本来デッドスペースになるはずの「モニタの上の空間」を有効活用できるという点が大きいかと思います。
あと久々の買い替えだったこともあり、「今のモニタはACアダプタ内蔵でこんなに薄いのか……」と少し驚きました。

その他液晶モニタ自体の品質(発色面)や消費電力等については特に触れませんが、変態モニタといってもそこはEIZO、一定以上の品質と言って良いかと思います。5年保証が付いているのも個人的には嬉しい点です。

◇ 背筋が伸びる

普段のモニタでは若干見下ろす視点になることは上で述べましたが、モニタの中心が顔の正面に近くなったことで多少猫背防止になるかもしれません。
意図的に姿勢を正したい場合は、モニタの半分より上に重要なものを置くと良いでしょう。


★ デメリット

◇ 入力系統等が限られている

EV2730Qの映像入力はDVI-DとDisplayPortがそれぞれ1つずつのみ、またPinP機能等もありません。そのため主にHDMIを使用するゲーム機全般や、PCからの出力がD-subしか残っていない場合(今時あるのか?)は使用できません。

もっとも144Hz入力等もできないため、完全に作業用として割り切った使い方をするのが正しいと思われます。

また本体にはUSBハブ機能が付いていますが、こちらもUSB2.0が2ポートのみ。入力も1系統しか無いため、DVI-DとDisplayPortで複数PCを切り替えることも難しいです。

余計な機能がほとんど無いという意味では、人によってはメリットかもしれません。

◇ 慣れるまでは首が疲れる

「何故一般的なモニタは正方形でないのか?」
当たり前です。人間の視野は縦より横に広いからです。少し調べた感じでは縦に20度、横に30度程度が眼球運動のみで瞬時に情報を得られる範囲だそうです。意外と狭いですね。もちろん「視界に映る」という意味ではもっと広くなりますが、目が左右に配置されている以上、上下<左右であることに変わりはありません。

今まで縦方向の視点移動をほとんどしていなかったため、首ごと動かして上下を見ることが多くありました。おそらく慣れれば多少は改善されると思いますが、しばらくは違和感と共に過ごすことになりそうです。

◇ ちょうどいいサイズの壁紙が全然ない

誰が正方形モニタを想定して壁紙を作るというのでしょうか。自分で用意しましょう。

◇ モニタの向こうにいる人とアイコンタクトを取れない

壁に向かって配置している場合は関係ありません。あとこれも人によってはメリットになるのでは……

◇ 高い

2年経っても約10万円です。ニッチだからね……仕方ないね……


★ 4Kモニタではダメなのか

最近では珍しくもなくなってきた4Kモニタは、一般的にUHD(3840×2160ピクセル)のものが多いと思います。縦2160ピクセルということはEV2730Qよりも広く、横はちょうど倍です。10万円を切る4Kモニタも多くなりましたし、EV2730Qを2枚並べるよりも安く広い領域が手に入ります。

じゃあもう4Kを1枚買えばいいじゃんという話ですが、何故そうしなかったのかについても書いていきます。

◇ ドットバイドットで表示したい

理由の大半はこれです。4Kモニタはピクセル数に対してインチ数が抑えめ、つまりドットピッチ(1ドットのサイズ)の非常に小さいものが大多数です。そのため等倍で表示すると文字等がとても小さくなってしまい、見にくくなります。

EV2730Qのドットピッチは0.248mm、参考までに同じEIZOから出ている4KモニタEV3237(31.5インチ)のドットピッチは0.181mmです。前モニタのHD2441Wはドットピッチが0.270mmですから、おおよそ0.67倍のサイズで表示されることになります。こうなると等倍表示で小さな文字を読むのは至難です。

もちろんそのためにOS側でもUIの拡大機能があるわけですが、どうしても不格好になってしまったり、拡大されるもの/されないものの切り分けが謎だったりと、あまり良いイメージがありません(個人差があります)。そもそもUIを拡大して表示するなら4K解像度は要らないのでは……?

それならば多少ピクセル数が落ちても等倍表示で支障のないものの方が良いな、となったわけです。

◇ 用途ごとにモニタを分けたい

ならばインチ数の大きい4Kモニタではどうでしょう。
こればかりは試せていないため予想に頼る部分が多くなってしまうのですが、まず50インチ前後の4Kモニタであれば0.270mmに近いドットピッチになるようです。

しかし4Kモニタの弱点としてはPC側の要求スペックが高くなること、そしてケーブルの伝送速度の関係で表示周波数が落ちてしまうことが挙げられます。PCのスペックについては開き直って高いグラフィックボードに替えてしまえば良いかもしれませんが、周波数はいかんともしがたいところです。

そのため4Kモニタ1枚に集約するのではなく、用途別に2枚のモニタを分けるのが良いのではないかと考えました。広い表示領域の必要な作業はEV2730Qで、ゲームなど高周波数での表示が必要な時はもう1枚のモニタで、という形です。4Kとゲーム用並べればいいじゃんというパワープレイも考えましたが、流石に50インチを置いたらもう1枚置くスペースはありません。

◇ 変なモニタを使いたい

色々御託を並べましたが本音はこれです。


★ 快適なAEライフのために

そんなわけでEV2730Qは広いデスクトップが必要な作業、特にAEのような「もうちょっと縦方向に表示したい(横も減らしたくない)」というタイプのソフトにはとてもオススメできるモニタです。出費は伴いますが、普段の作業に不満をお持ちの方や変態モニタを使いたい方は検討してみてはいかがでしょうか。
正方形モニタを買う人が増えて、少しでも価格が抑えられたり後継機種が出るようになればいいなと願っています。

余談ですが上で触れた「ゲーム用モニタ」は27インチ2560×1440ピクセルのものが同じくらいのドットピッチ(何気に総ピクセル数も同じ)なので、FORIS FS2735あたりを置きたいなと考えていますが、これがまたEV2730Qよりも高いのでしばらくは様子見になりそうです。

ぼくのかんがえた最強のワークスペース

それでは皆さん快適なAEライフを!

明日のAfterEffects Advent Calendar 2016はreflex1124さんの「Substance Painter 2でElement 3D用のテクスチャを作る話。」です。

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